足の裏にはかかとの骨から足の指の付け根をつなぐ「足底筋膜」といわれる筋肉があり、
アーチ状になった足の「土踏まず」を支え、これが伸び縮みすることで足の裏にかかる衝撃を吸収しています。

足底筋膜とかかとの骨が付着する部位には、強い牽引力と着地時の荷重による過大な衝撃がかかるため、
マラソンやジャンプ動作などでこの負荷が繰り返されることによって足底筋膜に炎症が起こり、足底筋膜炎を発症します。

足底筋膜炎は多くはマラソンランナーや
バレーボールの選手などのアスリートに多い疾患ですが、かかとの骨の変性による疾患でもあり、
また下肢の筋力低下、柔軟性低下でも発症し、スポーツをしない一般の中高年にも比較的多く生じます。
足底の痛みのうち約１割が足底筋膜炎とするデータもあります。

鍼灸の視点からは、足底筋膜炎は、「足の筋肉や経絡のバランスの乱れ」に起因すると考えられています。
鍼灸治療では、足底の痛みや張り感が現れる部位だけでなく、全身のバランスを整えることで、根本的な改善を目指します。
具体的な治療方法としては、筋肉、筋膜の促通を狙い、足のツボや経絡を刺激する鍼治療や、マッサージ、温熱療法などが用いられます。
また、日常生活での足の使い方の改善やストレッチなどのアドバイスも行います。

足底筋膜炎の原因としては、以下のようなことが挙げられます。

１、「過度な負荷」
過度な運動や、長時間の立ち仕事や歩行、または足に適切な靴を履かないことによって、足底に負荷がかかり、炎症を引き起こすことがあります。

２、「足部の異常」
足のアーチの高さによる異常、足裏の形状の異常、外反母趾や骨棘などの疾患がある場合にも、足底筋膜炎を発症することがあります。

３、「筋肉の衰え」
運動不足や加齢によって筋肉が衰えることで、足底筋膜に負荷がかかり、炎症を引き起こすことがあります。

４、「足のゆがみや歩行の乱れ」
例えば、外反母趾や扁平足、O脚などがある場合、足の負担が偏って足底に負荷がかかるため、足底筋膜炎を引き起こすことがあります。

５、「過体重や肥満」
体重が過重である場合、足底に負荷がかかり、炎症を引き起こすことがあります。

６、「ストレスや睡眠不足」
ストレスや睡眠不足によって、免疫力が低下し、足底筋膜炎の発症につながることがあります。

７、「疲労」
過度の運動や疲れが蓄積された状態が続くと、足底に負荷がかかり、足底筋膜炎を引き起こすことがあります。

足底筋膜炎のメカニズムとしては、足底の筋肉や腱、筋膜が過度な負荷や圧迫によって損傷を受け、炎症が発生することが考えられます。
炎症が起こると、足底に痛みや張り感が現れ、歩行や日常生活に支障をきたすことがあります。
また、足底筋膜炎の症状が長期間続くと、足底の軟組織が硬くなってしまうことがあり、治療が難しくなることもあります。

足底筋膜炎の場合、以下のようなことは避けるべきです。

１、「長時間の立ち仕事や歩行」
足底筋膜に負荷がかかるため、長時間の立ち仕事や歩行は避けるべきです。

２、「長時間の靴の着用」
靴が足底筋膜を圧迫することで症状を悪化させることがあるため、長時間の靴の着用は避けるべきです。

３、「過度な運動」
足底に負荷がかかる過度な運動は、症状を悪化させることがあるため、適度な運動量を心がけるべきです。

４、「足底のストレッチ過剰」
足底をストレッチしすぎると、筋膜を損傷することがあるため、適度なストレッチを心がけるべきです。

５、「薬の乱用」
痛みを和らげるために市販の痛み止めを乱用すると、症状が悪化することがあるため、適切な医療機関での治療を受けるべきです。

以上が、足底筋膜炎で避けるべきことの一部です。ただし、症状や個人差によって、避けるべきことが異なる場合もあるため、専門医の指示に従うことが大切です。

足底筋膜炎への対策として、以下のようなものがあります。

１、「適切な靴の選び方」
足に合った靴を選ぶことで、足底筋膜にかかる負荷を軽減することができます。

２、「足底のストレッチ」
足底のストレッチを行うことで、足底筋膜を柔軟に保つことができます。ただし、過度のストレッチは逆効果になる場合もあるため、適度なストレッチを心がけることが大切です。「適度」が難しい・・・。

３、「アイシング」
アイシングを行うことで、足底筋膜にかかる負荷を軽減することができます。

４、「物理療法」
物理療法（電気療法、温熱療法など）を行うことで、足底筋膜を和らげることができます。

５、「鍼灸治療」
鍼灸治療を行うことで、足底筋膜を緩和することができます。足底における筋肉の緊張を緩めたり、血行を促進することが目的となります。

上記は一例であり、症状に合わせて適切な対策を選ぶことが大切です。また、症状が軽度であれば自己管理ができる場合もありますが、重度の場合は早めに医療機関を受診することが望ましいです。

鍼灸施術が足底筋膜炎に有効と思われる理由は以下のようなものがあります。

１、「筋肉の緊張を緩める効果」
足底筋膜炎の場合、筋肉の緊張が原因で炎症が起こっていることがあります。鍼灸治療により、筋肉の緊張を緩めることができ、足底筋膜炎の症状を緩和することができます。

２、「血行を促進する効果」
鍼灸治療により、局所的な血行が促進されます。血流が改善されることで、足底筋膜炎による痛みや腫れを緩和することができます。

３、「神経痛を緩和する効果」
足底筋膜炎の場合、神経が刺激されて痛みを引き起こすことがあります。鍼灸治療により、神経の痛みを緩和することができます。

４、「自律神経の調整効果」
鍼灸治療は、自律神経の調整に効果があるとされています。足底筋膜炎によるストレスや疲労が自律神経に影響を与えている場合、鍼灸治療により自律神経のバランスを整えることができます。

５、「身体全体のバランスを整える効果」
鍼灸治療は、身体全体のバランスを整える効果があります。足底筋膜炎は、足だけでなく身体全体のバランスが崩れることがあります。鍼灸治療により、身体全体のバランスを整えることで、足底筋膜炎の症状を改善することができます。

以上のように、鍼灸治療は足底筋膜炎に対して多くの効果が期待できますが、症状や患者の状態によって適した治療方法が異なるため、専門家の指導の下で行うことが大切です。